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ご質問への回答 [本測定所の考え]

 高槻・市民放射能測定所のブログに訪問していただき
有り難うございます。スペクトルを全部公開するようにと言うご意見と、
Cs134とCS137のバランスがおかしいではないかと
いうご質問にこたえさせていただきます。

 まず、スペクトルの公開ですが、当測定所が開設
されて二年半のあいだにたくさんの試料を計測
してきました。たくさんのスペクトルをファイリング
して保管しています。測定に不慣れな時代のものから、
ある程度熟練してきた現在のものまで閲覧できるように
整理してあります。測定所で独自測定したものに
ついては全部公開していますので来所されてご覧ください。
 個人依頼の品物については本人が了解された
スペクトルについてのみ公開させていただきます。
不検出、検出だが定量限界未満などのスペクトルを
ブログ上に貼り付けることは無意味ですし、
過大な情報の中に大事な情報を埋もれさせてしまう
ことになります。
 通常、月曜日から土曜日までボランティアスタッフ
が無給で詰めています。スペクトルチャートや
プログラム上でご説明させていただきますので
事前に連絡をいただいた上でご来所ください。

 次に、Cs134とCs137のバランスの問題です。
まず、次の3つのスペクトルチャートを見てください。
図1 畑表土320g計測スペクトル
hyodo.jpg

図2 畑地下50cm土壌 320g計測スペクトル
tika-tuti.jpg

図3 畑表土土壌と地下50cmの二つのスペクトルを重ねたもの
chart.jpg

 図2の地下土壌スペクトルにいくつものγ線ピークが
見られます。これは、花崗岩の土壌などに含有される
ウラン系列やトリウム系列の天然核種の放出するスペクトルです。

 図1の表土土壌には土地の持つ天然核種のピークの他に、
330channel付近にピークを持つCs137の山、302Channel,
398channelにピークを持つCs134の山がみられます。
右側の緑の山はK40のピークになります。Cs137の山と
天然核種の山が重なっている部分があるのでこのまま
計算すると過剰計測となる場合があります。

 図3は表土と地下土のスペクトルを重ね合わせたもの
です。地下土壌のスペクトルから上に出ている部分が
人工核種の汚染を示します。差分のスペクトルを
描かせて放射性セシウムの濃度を求めています。
この表土試料の場合は、チェルノブイリや核実験の
残存のCs137に福島事故のCs137とCs134が重なって
いることがわかりました。このスペクトルを測定された
方はゲルマ機でのクロスチェックを行って私どもの
iFKR-ZIPと同じ結果を得ています。

 可能な限り天然核種の影響やK40のコンプトン散乱の
影響を減らすように努力していますが、セシウム合計で
1Bq/kgから2Bq/kgの汚染レベルでは作物に含まれて
妨害となる天然核種の影響を完全に消去できる
バックグランドスペクトルが作れていません。
(作物の種類によって土壌成分含有量が異なるため
普遍的なBG試料ができない)そのため、このレベルの 計測では信頼性のある値が得られるのはCs合計値に なるようにアルゴリズムが作られていると言うことです。
お茶のようにミネラルをたくさん含む作物はともかく
として、セシウム合計で3Bg/kgレベルの汚染であれば ほぼバランスを保った計測が行えます。

 当測定所のiFKR-ZIPは試料の必要量は320gです。
高価な肉やチーズなどの計測に利用される方もおられます。

 最後に、無汚染であった滋賀県の水口茶をBGに
用いて計測した静岡茶の計測スペクトルを紹介しておきます。

greentea.jpg
図4 粗供養でいただいた静岡茶(BGは滋賀県水口地元茶葉と明記されたお茶)

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そちみ

土壌中に天然がおおくてCs-134が多い、故にCs-134が過剰評価されることは理解していますが、食品での測定での極端な乖離は説明できません。
現時点での存在比、ちゃんと理解していますか?

by そちみ (2016-02-27 12:29) 

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